ギリシャ医師183人、医療大麻に前向き。「知らないから使えない」の壁

ギリシャ風の白と青の診療室で、処方箋を手に考え込む医師。未開封の「Medical Cannabis Guide」が机上に置かれ、医療大麻に関する知識不足を象徴している。

「使ってもいい。でも知らないから扱えない」。

これがギリシャの医師たちの本音です。

『アテネ大学』と『クレタ大学』の研究者が、医師183名を対象に意識調査を行いました。

8/17の『Archives of Hellenic Medicine』誌で発表された結果によると、過半数が医療用大麻を「正当な医療」と評価しています。

しかし、回答者の多くが「知識不足」を理由に処方を躊躇していました。

対象者の平均年齢は46.4歳で、男女比はほぼ半々(男性52%・女性48%)です。

さかのぼれば、ギリシャでは2024年2月に医療用大麻が解禁されました。

しかし現場は「制度はあるが、医師の知識が追いつかない」状態です。

この構図は日本も例外ではありません。

どれほど制度や商品が整っても、医師の理解と安心が伴わなければ市場は動きません。

本格稼働には、相応の時間がかかるのが現実です。

<出典元>
▶️ Survey Finds Doctors In Greece View Medical Cannabis Favorably(International CBC)

このニュースの関連用語解説

Archives of Hellenic Medicine(ギリシャ医学アーカイブス)

ギリシャ医学界を代表するピアレビュー付き学術誌で、1984年創刊。ギリシャ語・英語で医学研究を掲載し、EU圏の南欧医学研究における主要ジャーナルの一つです。ここに掲載された研究は、ギリシャ厚生省や欧州医薬品庁(EMA)の議論の参考文献にも用いられます。今回の医師調査がこの誌に掲載された意味は「専門家コミュニティが医療大麻を正式に議論の俎上に載せた」ことを示唆します。

ギリシャ2024年医療用大麻解禁

2024年2月、ギリシャ議会は医療用大麻の栽培・製造・処方を包括的に認可する法改正を可決しました。慢性疼痛・多発性硬化症・化学療法後の悪心・てんかん等が主要適応症です。EU圏内では比較的後発の解禁組で、隣国キプロス・北マケドニアの制度を参考に構築されました。解禁から1年半経過しても現場運用が本格化していない現状が、今回の調査で可視化された形です。

医師の知識ギャップ問題(Prescriber Education Gap)

医療大麻を解禁した国で共通して観察される、制度の整備と処方医の知識・自信の乖離現象を指します。ドイツ・カナダ・オーストラリアでも解禁初期に同様のパターンが発生し、市場立ち上がりの制約要因となりました。医学部カリキュラムでカンナビノイド薬理学が扱われないこと、成人後のCME(継続医学教育)で情報にアクセスしにくいことが根本原因とされています。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ医師は医療大麻について知らないのですか?教育の機会はないのですか?

A. 医学部のカリキュラムでカンナビノイド薬理学は標準科目に含まれていません。卒後研修でも扱われることは稀で、医師は独学か製薬会社主催の勉強会に頼るのが現状です。ギリシャに限らずEU圏の医師教育の共通課題です。解禁後に厚生省主導の処方医研修プログラムを整備した国もありますが、ギリシャは制度導入が先行し教育インフラが後追いになったパターンです。

Q. ギリシャの医療大麻市場は将来どのくらいの規模になる見込みですか?

A. ギリシャの人口約1,000万人、EU平均並みの医療大麻普及を想定すると、成熟市場では年間1〜3億ユーロ規模と推計されます。地理的にEUと中東の交差点に位置し、欧州向け輸出拠点としての潜在力も評価されています。ただし処方医の知識ギャップが解消されない限り、本格立ち上がりには3〜5年を要すると業界筋は見ています。

Q. 他の医療大麻解禁国でも同じ「知識ギャップ」問題は起きましたか?

A. はい。ドイツは2017年解禁後、2019年時点でも処方医は全体の10%未満でした。カナダは2001年解禁後も長らく処方に消極的で、2018年の嗜好用合法化を機に急拡大しました。オーストラリアも解禁初期は同様のパターン。処方医の教育プログラム整備と、患者主導のクリニック増加が転換点となる共通経路が観察されています。

Q. 2024年に大麻取締法改正で医療用大麻の道を開いた日本にとって、この調査の示唆は?

A. 日本も同じ罠に落ちる可能性が高いです。医師の知識・処方経験ゼロからのスタートで、医学部教育と卒後研修体制の整備が不可欠。厚生労働省・日本医師会・製薬企業の三者連携による標準的な処方医研修プログラム構築が、市場立ち上がりの成否を分ける鍵となります。ギリシャの1年半後の姿は、日本の3〜5年後の姿でもあります。

Q. 「医師の知識ギャップ」は事業者にとって、どんな機会につながりますか?

A. 医師向け医療大麻情報提供サービス、処方支援ソフトウェア、CME認定研修プログラム、専門クリニック運営、患者マッチングプラットフォーム等、教育・情報インフラ領域に大きな空白があります。特に日本市場では、薬機法管理者資格の応用や、既存の医療MR網を活用したエビデンスベースの情報提供体制構築が、参入機会として現実的です。

編集長こぼれ話

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    執筆者

    CBD Library for Biz編集長

    国内外の規制・医療・産業動向を、焦らず、騒がずほどほどに。年末恒例『大麻・CBDニュース総選』や業界レポート『CBD白書』も主催しています。 ▶︎日本臨床カンナビノイド学会会員/MM411カンナビスコンサルタントコース修了/MM411CBD医学ウェルネスコース修了/薬事法管理者/機能性表示食品検定上級エキスパート/アロマテラピー検定1級/貿易実務検定C級

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