ヘンプは水のドラキュラだった。南アフリカの研究が暴く「エコな植物」の真実

乾燥してひび割れた大地に植えられた大麻(カンナビス)の株元に、ホースから水が注がれている。ホースの一部が茎に絡みついている。背景には乾燥した荒野が広がっている。

エコな植物なんて呼ばれている大麻ですが、本当の顔は「水のドラキュラ」!?

南アフリカの『クワズール・ナタール大学』と『ローズ大学』の研究チームがドローンとセンサーで実測した結果、大麻は4カ月の生育期間で377mm相当の水を使い、1植物あたり平均1日約28リットルをガブ飲みしていたとのこと。

これは水食い樹と呼ばれるユーカリの若木(1日30〜50リットル)に匹敵する数値です。

業界が信じてきたエコな植物という幻想をバッサリ打ち砕いた形です。

これがもし本当なら、土壌改善やCO₂削減をうたってきた大麻も、干ばつ多発地域への展開は、環境破壊以外の何物でもありません。

いずれにしても、データなしでエコやサステナブルと印象論で語るのは危険だということを、あらためて自戒させる研究です。

<出典元>
▶️ Is Hemp a Thirsty Crop? New Research Measures Just How Much Water Cannabis Farming Can Use(The Conversation)

このニュースの関連用語解説

ウォーターフットプリント(水使用量)とは何か

ウォーターフットプリントは『製品生産に必要とされる全水使用量』を示す指標です。今回の研究では、ヘンプ1植物が『4カ月間で消費する灌漑用水』を実測し、1日平均28リットルという数値を算出しました。これは『降水量に頼らず、人工灌漑によって供給された水』を意味します。特に重要なのは『生育地の水文化によって、その環境への負荷が大きく異なる』という点です。水が豊富な地域での28リットル使用と、干ばつ多発地域での28リットル使用では、環境への影響度が全く異なります。業界が『エコ』と謳う際に、この『地域コンテキスト』を無視した主張が多いという批判が込められています。

ユーカリとの比較で何が分かるのか

ユーカリは『世界有数の水消費樹』として知られており、南アフリカ等の水が限定的な地域では『外来種として禁止・伐採対象』になっています。ユーカリの1日消費量が30〜50リットルであるのに対し、ヘンプは28リットル——つまり『ユーカリと同等かそれ以上の水消費樹と同じ振る舞い』をしているということです。言い換えれば『ヘンプも乾燥地域では禁止・制限対象になるべき水消費作物である可能性』を示唆しています。業界が『ヘンプは土壌改善とCO₂削減の両方を実現』と謳ってきたのは、実は『水消費という重要な環境負荷を見落としていた』ということになります。

『サステナブル』『エコ』の根拠なき主張と投資リスク

企業が『サステナブル』『エコ』『環境配慮』と謳う場合、本来は『客観的な第三者検査・データ公開・国際規格認証(ISO、FSC等)』が必須です。しかし業界全体で『ヘンプ=エコ作物という『確信的な思い込み』が蔓延しており、水消費データなしで『環境マーケティング』が行われてきました。これは『ESG投資家が情報開示を信頼して投資判断』をしている状況において、後発的に『実は環境負荷が高かった』という事実が判明すると『投資契約違反・虚偽広告訴訟』に発展する可能性があります。つまり『データなしの環境主張』は企業の『法的・財務的リスク』そのものになります。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜヘンプは『エコな植物』と言われてきたのですか?

A. ヘンプが『エコ』とされた背景には、①土壌改善効果(連作で土を肥沃化)②CO₂吸収能(木本より成長が速い)③農薬使用量が少ないという『3つの真実』があります。これら自体は誤りではなく、実際に『従来作物より環境負荷が低い』側面もあります。しかし同時に『水消費という第4の環境負荷』を測定・公表する企業や組織がほぼなく、『トータルな環境影響評価』が行われてきませんでした。つまり『測定されない環境負荷は、存在しない』という『情報の空白』が『エコという印象』を生み出したわけです。

Q. 1日28リットルという水消費は『本当に多い』のですか?

A. 一般的な野菜(トマト・キュウリ)の水消費が1日2~5リットル程度であるのに対し、28リットルは『農業用作物としては極めて高い水消費』です。穀物類(小麦・トウモロコシ)の平均が1日5~10リットルであることと比較しても、ヘンプの28リットルは明らかに異常値。『水食い樹』ユーカリに匹敵する消費量です。南アフリカのような半乾燥地域では『1日28リットル × 365日 = 年間1万リットル超の灌漑用水』が必要であり、この量を地下水に頼れば『地下水枯渇』に直結します。

Q. 乾燥地でのヘンプ栽培は本当に『環境破壊』ですか?

A. 南アフリカの研究では、4カ月間のヘンプ栽培で『377mm相当の水』が必要という実測値が出ました。一方、南アフリカの年間降水量は平均600~800mm(地域による差は大きい)。つまり『ヘンプ1サイクルで年間降水量の約50%相当の灌漑水が必要』ということになります。干ばつが多発する乾燥地域では、この灌漑用水は『地下水採取』に頼らざるを得ず、結果的に『地下水位低下→地盤沈下→他産業への水不足波及』といった環境破壊が起きる公算が高いです。

Q. 日本のヘンプ栽培に影響がありますか?

A. 日本は年間降水量が1,500~2,500mmと『世界的には水が豊富な国』です。そのため『水消費28リットル/日』というヘンプの特性が、直ちに『環境破壊』に結びつくわけではありません。ただし『国内ヘンプ栽培の拡大』を謳う企業が『エコ・サステナブル』を標榜する際に『水消費量に関する情報公開なし』で売却推進しているとすれば、それは『虚偽表示の可能性』があります。今後、国内CBD業界が『環境配慮』をマーケティング軸にする場合、『ヘンプの真実の環境負荷』を透明に開示することが必須になります。

Q. 企業がデータなしで『サステナブル』と謳うのはなぜ危険ですか?

A. ESG投資家や消費者は『企業の環境主張』を信頼ベースで判断しています。後発的に『実は環境負荷が高かった』という事実が判明した場合、①虚偽広告訴訟②投資家からの損害賠償請求③ブランド毀損が連鎖的に発生します。EU等ではグリーンウォッシング(根拠なき環境主張)に対する法的規制が強化されており、『データなし表示』は『消費者保護法違反』になるケースが増えています。日本も今後『景表法強化』が予想される中、『客観データなしの環境訴求』は『経営リスク』そのものになっています。

編集長こぼれ話

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    執筆者

    CBD Library for Biz編集長

    国内外の規制・医療・産業動向を、焦らず、騒がずほどほどに。年末恒例『大麻・CBDニュース総選』や業界レポート『CBD白書』も主催しています。 ▶︎日本臨床カンナビノイド学会会員/MM411カンナビスコンサルタントコース修了/MM411CBD医学ウェルネスコース修了/薬事法管理者/機能性表示食品検定上級エキスパート/アロマテラピー検定1級/貿易実務検定C級

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